寒風が吹きすさぶ一月の頃。
冷たい雨も降れば雪になることだってある。
母親とはぐれて一人ぼっちになってるのか、
仔猫がゴミ箱を漁る姿を見かけるようになった。
動物なのだからそんな環境に負けるほどヤワじゃない、
でも車に轢かれたら?
「可哀想」と口にするのは簡単だけど、
家に連れて帰ることは簡単なことじゃない。
外に出すことは出来ないから、
ガラス越しの風景を見せることしか出来ない。
人間の勝手な都合で去勢もする。
「保護」は頼まれたものでもない。
それでもいいからここが君の家だよと、
僕らは家族だよと迎えいれた。
逆に与えられるものばかりで、
僕にとっての帰るべき灯りとなった。
そんな愛猫のために
不足の内にではあるけれども
何かを与えることが出来ているのか、
答えの出ないそんな問いを繰り返すことも多かった。
でも13年経って思えるようになってきたことがある。
僕らはきっと幸せを共有しているはずで、
それを健気に育てていこうと
それをささやかに信じようと。